奥が深い! 西陣織によく使われる文様と意味(前編)
西陣織は、伝統的な文様を職人が織りあげます。西陣織がこれだけ長い間人々に親しまれてきたことは、図案職人が時代に即した文様を考案し続けたからともいえるのではないでしょうか。今回は、西陣織の文様の中から定番の文様や珍しい文様を取り上げて、その魅力と意味をお伝えします。
前編と後半があります
1.シンプルでモダン「割付文様」
繊維と聞くと「布を作る繊維」をイメージする人が多いのではないでしょうか。しかし想像よりも繊維の用途は広く、繊維の技術は日々進化しています。実は、携帯電話が軽くなったことも車のエアバッグ機能が向上したことも繊維の進化と深い関係があるのです。繊維は、さまざまな用途で使われています。中でも高性能繊維のスーパー繊維は、強さや耐熱性がとびぬけています。防弾チョッキや消防士が着用する耐炎消防服などはスーパー繊維を使って作られているのです。
カーボン繊維もスーパー繊維の中のひとつです。カーボン繊維は炭素(カーボン)でできている無機繊維です。飛行機のボーイング777やエアバス社のA380では、カーボン繊維がたくさん使われています。
カーボン繊維の特徴は、重さあたりの強度が他の繊維よりも強いことです。つまりカーボン繊維は「軽くて強い繊維」のため、釣り竿やラケットそして風力発電機にも使われています。
2.季節を感じる「植物文様」
カーボン繊維のメリットは、その機能性です。軽くて強いことからさまざまな用途で活用されています。軽い金属といえばアルミではないでしょうか。アルミもかなり軽い素材ですが、それでもアルミはカーボン繊維の約1.5倍の重さがあります。また、カーボン繊維は阪神淡路大震災以降、耐震補強材として使われるほどの強度があります。それまでは、耐震補強材には重たい金属が使われていました。カーボン繊維を使うようになり作業は簡単になり、よりしっかりとした補強ができるようになったのです。
デメリットは色が黒いことでしょう。カーボン繊維は、原材料によってPAN系とピッチ系という2種類にわけられます。PAN系は、アクリル繊維が原材料のため、性能やコスト面から人気があります。カーボン繊維の黒色は、カーボン繊維の作り方に原因があるのです。PAN系は、特殊なアクリル繊維を高温で熱して作ります。高温で熱することで炭化し黒色になるのです。黒色は、クールな印象を与えるメリットもありますが、強いインパクトがある色でもあるため、使い方が難しいと感じるかもしれません。
また、カーボン繊維を作るためにはコストがかかります。そのため、カーボン繊維は他の繊維と比較すると値段が高いというデメリットがあります。