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西陣カーボンが「新しい伝統的工芸品」といえる3つの理由

西陣カーボン|伝統産業

西陣カーボンに使われている「カーボン繊維」とは

西陣カーボンの最大の特徴は、伝統ある西陣織に最新の繊維「カーボン繊維」を組み合わせたことです。カーボン繊維は、綿や絹のような天然繊維とは異なり、ナノテクノロジーや科学技術と深い関係があります。聞きなれない「カーボン繊維」とはどのようなものなのかをわかりやすく解説します。

1.カーボン繊維とは

繊維と聞くと「布を作る繊維」をイメージする人が多いのではないでしょうか。しかし想像よりも繊維の用途は広く、繊維の技術は日々進化しています。実は、携帯電話が軽くなったことも車のエアバッグ機能が向上したことも繊維の進化と深い関係があるのです。繊維は、さまざまな用途で使われています。中でも高性能繊維のスーパー繊維は、強さや耐熱性がとびぬけています。防弾チョッキや消防士が着用する耐炎消防服などはスーパー繊維を使って作られているのです。

カーボン繊維もスーパー繊維の中のひとつです。カーボン繊維は炭素(カーボン)でできている無機繊維です。飛行機のボーイング777やエアバス社のA380では、カーボン繊維がたくさん使われています。

カーボン繊維の特徴は、重さあたりの強度が他の繊維よりも強いことです。つまりカーボン繊維は「軽くて強い繊維」のため、釣り竿やラケットそして風力発電機にも使われています。

西陣カーボン|伝統産業
カーボンシート|西陣カーボン

2.カーボン繊維のメリットとデメリット

西陣カーボン|伝統産業

カーボン繊維のメリットは、その機能性です。軽くて強いことからさまざまな用途で活用されています。軽い金属といえばアルミではないでしょうか。アルミもかなり軽い素材ですが、それでもアルミはカーボン繊維の約1.5倍の重さがあります。また、カーボン繊維は阪神淡路大震災以降、耐震補強材として使われるほどの強度があります。それまでは、耐震補強材には重たい金属が使われていました。カーボン繊維を使うようになり作業は簡単になり、よりしっかりとした補強ができるようになったのです。

デメリットは色が黒いことでしょう。カーボン繊維は、原材料によってPAN系とピッチ系という2種類にわけられます。PAN系は、アクリル繊維が原材料のため、性能やコスト面から人気があります。カーボン繊維の黒色は、カーボン繊維の作り方に原因があるのです。PAN系は、特殊なアクリル繊維を高温で熱して作ります。高温で熱することで炭化し黒色になるのです。黒色は、クールな印象を与えるメリットもありますが、強いインパクトがある色でもあるため、使い方が難しいと感じるかもしれません。

また、カーボン繊維を作るためにはコストがかかります。そのため、カーボン繊維は他の繊維と比較すると値段が高いというデメリットがあります。

西陣カーボン|伝統産業

3.カーボン繊維と西陣織をあわせるメリット

カーボン繊維は、機能的にすばらしい繊維です。しかし、色が黒1色であることと限られた加工しかされてこなかったことがデメリットでもありました。西陣織は、カーボン繊維とは全く逆の特徴を持っています。西陣織は、糸の染めから行います。長い歴史のノウハウから、頭に描いている色を豊かに表現することができます。カーボン繊維の漆黒のような黒色と西陣織の豊かな色合いのコラボレーションは新しい時代を感じさせます。

また、カーボン繊維は限られた織によって作られてきました。しかし西陣織の華ある織り方をすることで、カーボン繊維の中に華やかさをプラスすることができるのです。

カーボン繊維だけでは工業的な無機質な雰囲気、西陣織だけでは和のやわらかい雰囲気に限られていたのかもしれません。この2つが合わさることで、カーボン繊維には情緒が食加わり、西陣織には和や洋という区別を超えた新たな価値が加わりました。

4.おわりに

西陣織は、主にアパレル分野で使われてきました。しかしカーボン繊維という新しい繊維と合せることで、その領域は工業にまで広がりました。カーボン繊維は新しい繊維であり、繊維技術はナノファイバーを始め今現在も進化を続けています。繊維がある限り「織り」はともに進化します。西陣カーボンの可能性はこれからも広がり続けます。

西陣カーボン|伝統産業

5.おわりに

多くの伝統的工芸品が時代の流れに流されていく中で、西陣織は現在も伝統的工芸品として確固たる地位を守っています。これは、西陣織が多くの工程を必要とするものでありながらも、柔軟に新しい技術を取り入れて時代に応じてきたからではないでしょうか。

西陣カーボンは、西陣織に新たな材料を用いるという一歩を踏み出しました。時代が変わっても「美しいものを美しい」と感じる人の心は変わりません。西陣カーボンは、平安時代から受け継がれた人の心を守りながら、新しい西陣織を提案いたします。

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