カーボン繊維とは?ものづくり日本がカーボン繊維の未来を切り開いた
1.カーボン繊維とは
そもそもカーボン繊維とは何か?日本語に訳すと「カーボン=炭素」の繊維で、炭を材料に作った繊維の事です。
繊維と言うとセーターや毛布のような洋服やアパレルが有名です、カーボン繊維もそんな繊維の仲間ですが、実は強度や耐久性はけた違いに凄い奴なんです。
カーボン繊維は、何と言っても軽くて強いこと。重さは鉄の約1/4なのに強さと言ったら、アルミの約3倍も強い。そして変形しにくい。変形しにくいと言われているガラス繊維と比べても2.5倍も変形しない。曲がってももとにもどっちゃうんですね。そして変形しないってことは、伸びも縮みもしないという事で、カーボン繊維って実はめちゃくちゃ凄い奴なんです
2.カーボン繊維の歴史
もともとのカーボン繊維自体は、1800年代(19世紀)にかの有名なトーマス・エジソンが電球の光るところ(フィラメント)の素材を探している中で生まれました。
結局、電球にはカーボン繊維は使われなかったのでそのままお蔵入りとなるわけですが、それから半世紀がたち1950年代、世界はアメリカとソ連(現、ロシア)の間でどちらが先に宇宙に行けるかを国をあげて技術力を競い合っていた。そんなんかロケットの噴射口に耐えられる素材として、アメリカでカーボン繊維の研究開発が急速に進められたのです。
近代カーボン繊維の生みの親は日本人だった
一方、日本では1959年に大阪の試験所の進藤昭男博士が、かんたんに加工できるカーボン繊維を発明。これにより日本国名でもどんどんカーボン繊維の需要は広がっていきました。
カーボン繊維の歴史で、大きなきっかけになったのが「飛行機」に使われたことでした。
カーボン繊維のメリットは「軽い・強い」と先ほど説明した通りですが、実はダメな特徴(デメリット)はズバリ、高価である事。高価な理由は、生産・加工には高い技術力がいるからです。
綿や絹などの繊維であれば大地に種を植えて収穫して作り出すことが出来る。土地があれば誰でも作れるのですが、カーボン繊維は非常に作り方が特殊なため一部の企業しか作れない高価なものになのです。
3.カーボン繊維の特徴
カーボン繊維のメリットは「軽い・強い」と先ほど説明した通りですが、実はダメな特徴(デメリット)はズバリ、高価である事。高価な理由は、生産・加工には高い技術力がいるからです。
綿や絹などの繊維であれば大地に種を植えて収穫して作り出すことが出来る。土地があれば誰でも作れるのですが、カーボン繊維は非常に作り方が特殊なため一部の企業しか作れない高価なものになのです。
4.カーボン繊維は日本が一番信頼されている
カーボン繊維の作り方は、何度も高温で蒸し焼きにすることで余分な成分が取り除かれます。そして出来上がったカーボン繊維は「カーボン=炭素」でもわかる通り「炭」ですので真っ黒です。こうして出来上がったカーボン繊維がロケットや飛行機や車の内装などの先端技術を支えています。
ここで少し余談ですが、西陣カーボン(フクオカ機業)では、カーボン繊維に色糸を織り込むことで強度をたもちながら黒一色じゃないカラフルな製品作り出すことに成功しています。
5.日本のものづくり文化がカーボン繊維の未来を切り開いた
軽くて強い魔法の素材のカーボン繊維ですが加工の難しさと価格の壁は大きく、何度も冬の時代を乗り越えてきました。
世の中には4つの壁があると言われています。
- 技術の壁
- コストの壁
- 既得権の壁
- 経営陣の壁
乗り越えられずに消えていった魔法の素材は山ほどあります。1960年代、ロールス・ロイス社(高級車のイメージが強りですが実は飛行機メーカー)のジェットエンジン開発がうまくいかず、その取り組みが失敗に終わりカーボン繊維も出番を失います。追い打ちをかけて「神の金属ジラルミン」などの登場によりカーボン繊維は低迷し、世界のほとんどのカーボン繊維メーカーは撤退していきました。
6.オイルショックで大逆転、日本のカーボン繊維の大復活劇
そんな中、東レ(東洋レーヨン)は日本のものづくり精神は人と技術を育てる文化でした。「売れないからすぐ撤退では人や技術が育たない」売り先のないカーボン繊維の新しい道を模索していました。ゴルフや釣りのシャフトやテニスのラケットなど何とか製品を出していました。
1975年のオイルショックにより、「軽い飛行機=燃費がいい」の需要が増え、そして世界最大の飛行機会社のボーイング社が機体の素材をカーボン繊維に切り替えをきっかけに世界中の飛行機メーカーはカーボン繊維を欲しがりました。
しかし、飛行機を作れるほど多くのカーボンをつくれるのは東レをいれても世界に数社しか残っていませんでした。まさにこの大復活劇があったおかげで世界の70%のシェアを誇る産業としてカーボン繊維産業は成長しました。
カーボン繊維 まとめ
カーボン繊維は日本とは切っても切れない関係です。加工技術も世界最高レベルなのはもちろん、現在では加工のノウハウも積み上がり日本の中小企業でも世界に通用する製品を提供しています。
その精神は「未来を創るためにカーボン繊維と向き合っている」と言えます。